本文へ移動

ウレタン樹脂

ウレタン樹脂

概要

ウレタン樹脂とは、組成中にウレタン結合を繰返し持つ化合物であり、イソシアネート基を2個以上持ったポリイソシアネート化合物(O=C=N-R-N=C=O)と、水酸基を2個以上持ったポリオール化合物(HO-R'-OH)、ポリアミン(H2N-R”-NH2)、水などの活性水素(-NH2,-NH,-CONH-など)を持った化合物などと反応して得られことができます。(R,R',R”:脂肪族、芳香族など)
ポリイソシアネートとの反応速度は、ポリオール<水<ポリアミンの順で、以下のように反応します。

1)ポリイソシアネート+ポリオール → ポリウレタン樹脂 n(OCN-R-NCO)+n(HO-R'-OH) → -(R'-O-CO-NH-R-NH-CO-O)-n

2)ポリイソシアネート+水 → ポリアミン+炭酸ガス n(OCN-R-NCO)+2n・H20 → n・H2N-R-NH2+2n・CO2↑

3)ポリイソシアネート+ポリアミン → ポリウレア樹脂 n(OCN-R-NCO)+n・H2N-R”-NH2 → -R-(NH-CO-N-R”-NH-CO-NH)-n ウレア結合

ポリイソシアネートとポリアミンとが反応して、ウレア結合(尿素結合)を生成するため、生成した樹脂はポリウレア樹脂と呼称し、ポリウレタン樹脂と区別しています。

一般的な特徴

ウレタン樹脂は、使用するポリイソシアネート化合物とポリオール化合物の組み合わせにより、ゴムのように柔らかい硬化物からプラスチックのように硬質な物まで得ることができ、以下のような特徴を持っています。

<長所>
(1)低弾性から高弾性率まで幅広い物性が得られる
(2)耐摩耗性に優れる
(3)耐油性に優れる
(4)低温特性に優れる
(5)耐候性に優れる(アクリルウレタン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料)

<短所>
(1)硬化時に湿度(水)の影響を受けやすい
(2)耐アルカリ性が弱い

用途

ウレタン樹脂の主用途は、ポリイソシアネート化合物と水とを反応させ、発生する炭酸ガスによって発泡させて作るウレタンフォーム(発泡体)です。
補修分野では、表面被覆材(防水材含む)、シーリング材(目地材)などが多くあります。

(a)ひび割れ注入材
ウレタン樹脂の硬化剤であるイソシアネートは、水と反応して発泡し膨張します。また、エポキシ樹脂に比較して柔軟(低弾性)です。そのため、止水やひび割れ追従性を目的に、漏水のあるひび割れや、動きのあるひび割れへの注入材として利用されています。
注入材には、変性イソシアネートを主体とした1成分系のものや、主剤・硬化剤の2成分形のものがあります。

(b)表面被覆材
ウレタン樹脂は、ポリオール(主剤)、ポリイソシアネート(硬化剤)の成分や組み合わせによって、低温硬化性(-5℃以上)、低温での伸び性能、耐候性に優れた表面被覆材を作ることができ、主として、主材(中塗り材)や仕上げ材(上塗り材)に多く用いられています。また、主成分であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが空気中の水分と反応し、常温で硬化する1成分系プライマーとして使用する場合もあります。
耐候性に優れた仕上げ材として、アクリルウレタン塗料やフッ素樹脂塗料が挙げられますが、その硬化系は、アクリルやフッ素を付加したポリオールと、黄変が生じにくいイソシアネートを反応させて塗膜とするものであり、ウレタン樹脂に包含されています。

(c)シーリング材(目地材)
シーリング材とは、建物の窓枠やパネル相互の接合部(目地)などに充てんし、目地の気密性、水密性を確保したり、熱などによる膨張収縮の動きを吸収する役割をはたす不定形のゴム状材料をいい、代表的な材質として、シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系があります。一般的に性能は、シリコーン系>ポリサルファイド系>ポリウレタン系と言われています。
ポリウレタン系には、主成分であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが空気中の水分と反応し、常温で硬化する1成分系と、活性水素を有する化合物を硬化剤に用いる2成分系のものがあります。
他のシーリング材に比較して経済的ではあるが、耐熱性、耐候性がやや劣る面があります。

使用上の注意点

使用上の注意点の中で、(1)配合比の遵守と均一な混合、(2)気温の影響は、エポキシ樹脂と同様です。
ウレタン樹脂の硬化剤であるポリイソシアネートは、水との反応性が非常に高いため、以下の項目を特に注意しなければなりません。

(a)材料の保管
硬化剤であるポリイソシアネートは、水との反応性が非常に高いため、水分の混入は絶対に避けなければなりません。また、硬化剤の缶を開封し、再保管する場合には、ドライエアまたは窒素ガスを封入し、密栓しなければなりません。

(b)湿度の影響
硬化剤であるポリイソシアネートは、水との反応性が非常に高いため、高温多湿の梅雨時、夏場には、特に注意が必要であり、降雨時や降雨の恐れのある場合には、作業は中止した方がいいでしょう。塗膜が発泡し、所定の硬化塗膜が得られない場合や接着不良を生じる場合があります。
TOPへ戻る