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シラン

シラン

概要

シランは、一般に有機ケイ素化合物のモノマーをさし、シリコーン樹脂に包含されます。
図中のXで示される加水分解性基が無機材料(無機顔料、ガラス繊維、コンクリート、金属など)との反応件を示し、良好な接着性を示します。
一方、Rで示す有機基が、有機系材料との反応性があるか否かで、反応性シランと非反応性シランを区別しています。
図 シラン化合物
図 シランとコンクリートの反応模式図

一般的な特徴および用途

1)シランカップリング剤
反応性シランのRには、対象とする有機系材料と反応する有機基(エポキシ基、イソシアネート基、アリル基(CH2=CH-CH2-)など)が付加され、無機材料と有機系材料の橋渡しの役割をします。
一般に、反応性シランは、シランカップリッグ剤と呼ばれ、FRPに使用するガラス繊維の表面処理剤として多く利用されています。
シランカップリッグ剤の性能が最も良く発揮されるケースは、エポキシ、不飽和ポリエステル、ウレタンなどの熱硬化性樹脂を結合材(マトリックス)とする複合材料においてであり、物理的強度、耐水性、耐煮沸性、電気特性、耐熱性などが改良されます。

2)浸透性防水剤(撥水剤)
非反応性シランのRは、有機系材料と反応しないメチル基(CH3)、エチル基(C2H5)、プロピル基(C3H7)などのアルキル基(CnH2n+1)などです。 そのため、図に示すように表面に並んだRによって、撥水性が付与されます。 これが、浸透性防水剤の仕組みです。
シランの重合反応により生成したシリコーンポリマー層(撥水層)の特長を以下に示します。

<長所>
(1)低分子かつ低粘度のため、浸透性に優れる
(2)塗料のように造膜しないため、コンクリートの呼吸を阻害しない
(3)耐候性に優れており、かつ、撥水層は、コンクリート内部に形成されるため、劣化を受けにくい
(4)無色、透明であり、塗料のように造膜しないため、コンクリート打放しの仕上げができる

<短所>
(1)仕上げ材には、水系塗料やエマルション塗料ではなく、溶剤系の塗料を用いる(撥水性に優れるため)

<使用上の注意点>
(1)浸透性は、コンクリートの表面水分率(含水率)に影響されため、表面水分率は、10%以下で塗布することが望ましい
(2)塗料のように造膜せず、塗布後の外観変化がないので、塗装管理に注意する
(3)撥水層の上に外装仕上げ塗材(塗料)を塗布する場合には、試験塗りを実施し、付着性を確認する
(4)水分の混入により、シランの活性が低下するため、保管に注意する
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