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充填工法

工法の概要と特徴
 
 0.5mm以上の比較的大きな幅のひび割れの補修に適する工法で、ひび割れに沿ってコンクリートをカットし、その部分に補修材を充填する方法のことをいいます。この工法は鉄筋が腐食していない場合と鉄筋が腐食している場合とで補修の方法が異なります。
 
 (1) 鉄筋が腐食していない場合
 
 図1に示すようにひび割れに沿って、約10mmの幅でコンクリートをUまたはV形にカットした後、このカットした部分にシーリング材、可とう性エポキシ樹脂およびポリマーセメントモルタルなどを充填してひび割れを補修する工法です。U形にカットする場合は、ひび割れを挟んで両側にカッターで溝を切った後、その間のコンクリートをはつり取る方法で実施されます。 これに対して、V形にカットする方法として、最近では円錐状のダイヤモンドビットを電動ドリルの先に付けてひび割れに沿って削る方法が考案されています。V形にカットする方法は簡便ですが、ポリマーセメントモルタルを充填する場合には充填したモルタルの剥離、剥落を生じ易いので、U形カットを採用するのがこの工法では一般的です。
 
図-1 鉄筋の露出のない場合の充填工法
  (2) 鉄筋が腐食している場合
 
 図3に示すように鉄筋の発錆腐食している部分を、十分に処置できる程度にコンクリートをはつり取り、鉄筋の錆落としを行い、鉄筋の防錆処理、コンクリートへのプライマーの塗布を行った後にポリマーセメントモルタルやエポキシ樹脂モルタルなどの材料を充填する方法で行います。この方法は、鉄筋が腐食している場合におけるコンクリート構造物の耐久性の回復を目標としたひび割れの補修方法の主流であり、いろいろな材料や工法が考えられています。その考え方には大きく次の3つがあります。
 
図-2 鉄筋の露出した場合の充填工法
 ①補修材料によって物理的に腐食を防止する方法
 
 ②コンクリートにアルカリ性を付与して化学的に腐食を抑制する方法
 
 ③①と②の方法を組み合わせた方法
 
 鉄筋が腐食している場合の補修では、次のことについても留意する必要があります。
 
 ①腐食した鉄筋の錆を完全に除去することを原則とする
 
 ②ひび割れが発生していない部分の鉄筋も腐食していることが多いので、この部分も含めて補修する
 
 ③ひび割れは進行性でひび割れ幅が拡大することが多いので、変形追従性の大きい補修材料を使用する
 
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