含浸塗布工法
コンクリート表面に含浸材を塗布することで、劣化因子の浸透を防止したり、コンクリートにアルカリ性を付与させたり、鋼材の防錆効果を付与させたり、あるいは、ぜい弱部の強化などを行う工法です。コンクリート表面を、はつり、ケレン、洗浄、清掃などの下地処理を十分に行い、さらに、無機系や一部の有機系のものでは、湿潤状態での施工も可能としているものもありますが、多くの場合には、十分な乾燥を行った後、ローラー刷毛塗り、刷毛塗り、吹付けなどにより目的とした塗布量になるように塗布するのが一般的です。通常の塗膜と異なり、コンクリート表面に塗布された後、内部の空隙やひび割れに浸透し効果を発揮するとされています。
しかし、電気化学的な電気浸透現象を利用し、アルカリ付与剤をコンクリート中に浸透させる方法、あるいはポリマー含浸コンクリートのような、脱気処理などによるポリマーの含浸を強制的に実施するような方法とは異なり、一般に含浸材の浸透は表面近傍に限られ、また、既存コンクリートの状態などの影響を受けやすいのです。従って、その性能の信頼性については、予め試験などにより確認を行い、含浸深さは、用いる含浸材の性質と既存コンクリートの空隙量や、ひび割れの状態あるいは使用材料、配合や炭酸化の程度などから決まる空隙構造などに影響を受けるので、それらを良く把握してから行う必要があります。また、施工の影響も受け易いので、製造・販売業者の取扱い説明書や、施工要領などに十分留意して施工を行う必要があります。
図-1に含浸工法に用いられている含浸材を示しました。吸水防止を目的としたもの、アルカリ付与を目的としたもの、鋼材の防錆を目的としたもの、および脆弱部の強化を目的としたものに大別されます。吸水防止を目的とした場合には、アクリルやウレタン樹脂、あるいはその他の変性ポリエステルなどの樹脂系と、シリコーン、シラン、シリコネート系およびケイ酸化合物系、ケイフッ化物系およびケイ酸塩化合物と、セメントとの混合系に分類されます。
しかし、電気化学的な電気浸透現象を利用し、アルカリ付与剤をコンクリート中に浸透させる方法、あるいはポリマー含浸コンクリートのような、脱気処理などによるポリマーの含浸を強制的に実施するような方法とは異なり、一般に含浸材の浸透は表面近傍に限られ、また、既存コンクリートの状態などの影響を受けやすいのです。従って、その性能の信頼性については、予め試験などにより確認を行い、含浸深さは、用いる含浸材の性質と既存コンクリートの空隙量や、ひび割れの状態あるいは使用材料、配合や炭酸化の程度などから決まる空隙構造などに影響を受けるので、それらを良く把握してから行う必要があります。また、施工の影響も受け易いので、製造・販売業者の取扱い説明書や、施工要領などに十分留意して施工を行う必要があります。
図-1に含浸工法に用いられている含浸材を示しました。吸水防止を目的としたもの、アルカリ付与を目的としたもの、鋼材の防錆を目的としたもの、および脆弱部の強化を目的としたものに大別されます。吸水防止を目的とした場合には、アクリルやウレタン樹脂、あるいはその他の変性ポリエステルなどの樹脂系と、シリコーン、シラン、シリコネート系およびケイ酸化合物系、ケイフッ化物系およびケイ酸塩化合物と、セメントとの混合系に分類されます。
しかし、実際に販売されている製品についての成分などの詳細は、触媒や硬化剤の添加の有無なども含めて不明であり、あくまで、主成分からの便宜的な大分類です。シランモノマー(アルキルアルコキシシラン)やシロキサンオリゴマー、あるいはそれらを組み合わせたもの、シリコンワニスなどを石油系やアルコール系の有機溶剤で希釈したものや、シリコネート系などを調整し水系としたものなどがあります。最近では、環境への配慮から水系のものが注目されています。分子量が小さいほど浸透性は良く、また、アルキル基の短い方が浸透性は優れていますが、撥水性は疎水基の長いほうが一般に良いので、分子量が260程度で、炭素数が8~10程度のものの性能が優れているとされています。いずれも場合にも、空隙の表面の水酸基と反応してシロキサン結合を形成し、さらに隣り合ったシランモノマーやシロキサンオリゴマーが脱水縮合して、シリコーン膜を形成します。疎水基が表面に並ぶため、撥水性を示すようになります。なお、シラン系材料を用いることにより、アルカリ骨材反応や鋼材の腐食を防止する効果は発揮されるとしていますが、当初から多量な内在塩化物イオンなどが存在する場合には、その防止効果は十分でないとする報告もあります。
アクリル系やウレタン系などのモノマーやオリゴマーを溶剤にて希釈して、触媒などとともに含浸させ、コンクリートの表面や空隙内で重合させポリマーを生成させ、吸水防止を行う方法があります。ケイ酸アルカリ系は、空隙中でコンクリート中の水酸化カルシウムと反応して、ケイ酸カルシウム生成し、空隙を充てんし、緻密化させることにより、吸水防止効果を付与させるとされています。また、ケイ酸リチウムはアルカリ性を回復させるなどの目的にも利用されます。リチウム塩ではなく、ナトリウムやカリウム塩を用いている場合には、各種の硬化剤と併用されており、また、アルカリ骨材反応への配慮などをする必要があります。なお、コロイダルシリカやケイ酸アルキルエステルなどもケイ酸アルカリと同様の効果を期待して利用されています。ケイ酸アルキルエステルは、アルカリ性において、加水分解してシラノール基となり、縮合してシロキサン結合や、あるいは水酸化カルシウムと反応して、難溶性の生成物を生成し緻密化します。また、ケイフッ化物としては、ケイフッ化マグネシウムなどが知られており、これも不溶性のフッ化カルシウムを生成し、緻密化するとされています。
また、表面脆弱部の補強などを目的として、エポキシ系やアクリル系などのポリマーが利用されています。エポキシ系樹脂を、浸透しやすように希釈したものや、2液主剤タイプのアクリル系特殊タイプなどがあり、アクリル系は湿潤面でも使用が可能とされています。
亜硝酸リチウムを表面に塗布し、内部へ含浸させる方法や、亜硝酸リチウム濃厚溶液を含むポリマーセメントにより、コンクリート表面を被覆し、コンクリート内部への亜硝酸イオンの拡散により、塩化物イオンにより破壊された不動態膜を下記のような反応により再生されるとしています。亜硝酸イオン濃度が低いと、塩化物イオンによる不動態膜の破壊が生じますが、亜硝酸イオンと塩化物イオンのモル比が0.6以上になると、緻密な不動態膜を鉄筋表面に生成し、塩化物イオンによる影響を受け難くなるとされています。
Fe2++20H-+2NO2-→Fe2O3+H20+2NO
なお、亜硝酸リチウムを含浸させることにより、リチウムイオンは、ナトリウムやカリウムイオンとは異なり、反応性骨材との間で不溶性のゲルを生成し、アルカリ骨材反応も抑制されるとされています。
ここで述べた含浸材、あるいはこれら含浸材を利用した工法は、非常に多くのものがあるため、工法適用の際は詳細などはそれぞれのメーカーに、尋ねてみるといいでしょう。
アクリル系やウレタン系などのモノマーやオリゴマーを溶剤にて希釈して、触媒などとともに含浸させ、コンクリートの表面や空隙内で重合させポリマーを生成させ、吸水防止を行う方法があります。ケイ酸アルカリ系は、空隙中でコンクリート中の水酸化カルシウムと反応して、ケイ酸カルシウム生成し、空隙を充てんし、緻密化させることにより、吸水防止効果を付与させるとされています。また、ケイ酸リチウムはアルカリ性を回復させるなどの目的にも利用されます。リチウム塩ではなく、ナトリウムやカリウム塩を用いている場合には、各種の硬化剤と併用されており、また、アルカリ骨材反応への配慮などをする必要があります。なお、コロイダルシリカやケイ酸アルキルエステルなどもケイ酸アルカリと同様の効果を期待して利用されています。ケイ酸アルキルエステルは、アルカリ性において、加水分解してシラノール基となり、縮合してシロキサン結合や、あるいは水酸化カルシウムと反応して、難溶性の生成物を生成し緻密化します。また、ケイフッ化物としては、ケイフッ化マグネシウムなどが知られており、これも不溶性のフッ化カルシウムを生成し、緻密化するとされています。
また、表面脆弱部の補強などを目的として、エポキシ系やアクリル系などのポリマーが利用されています。エポキシ系樹脂を、浸透しやすように希釈したものや、2液主剤タイプのアクリル系特殊タイプなどがあり、アクリル系は湿潤面でも使用が可能とされています。
亜硝酸リチウムを表面に塗布し、内部へ含浸させる方法や、亜硝酸リチウム濃厚溶液を含むポリマーセメントにより、コンクリート表面を被覆し、コンクリート内部への亜硝酸イオンの拡散により、塩化物イオンにより破壊された不動態膜を下記のような反応により再生されるとしています。亜硝酸イオン濃度が低いと、塩化物イオンによる不動態膜の破壊が生じますが、亜硝酸イオンと塩化物イオンのモル比が0.6以上になると、緻密な不動態膜を鉄筋表面に生成し、塩化物イオンによる影響を受け難くなるとされています。
Fe2++20H-+2NO2-→Fe2O3+H20+2NO
なお、亜硝酸リチウムを含浸させることにより、リチウムイオンは、ナトリウムやカリウムイオンとは異なり、反応性骨材との間で不溶性のゲルを生成し、アルカリ骨材反応も抑制されるとされています。
ここで述べた含浸材、あるいはこれら含浸材を利用した工法は、非常に多くのものがあるため、工法適用の際は詳細などはそれぞれのメーカーに、尋ねてみるといいでしょう。