断面修復工法(左官工法)
工法の概要 (これは、比較的小規模な断面の修復時に適用する工法です。)
工法の流れとしてはおおよそ以下のとおりです。
①プライマーを刷毛等で塗布する。
②プライマーの指触乾燥以内にコテ、ヘラ等でモルタル状の材料をはつり面にすりつけながら充填する。
③左官コテで表面を平滑に仕上げて形状を修復する。
使用材料
修復材料はその用途および目的に適合する品質のものの中から選定する必要があります。一般に材料に対しては、次のような特性が要求されます。
①コンクリートとの一体性がよく、コンクリートと同等の強度、熱膨張係数を有する
②コンクリート及びその上に施工される被覆材との付着性に、優れた材料でなければならない
③硬化時に著しい収縮を生じないこと、施工後に自重や振動の影響で剥落しないこと
等の性能が要求されるのが一般的です。
左官仕上げによるコンクリートの断面修復には、次のような種類があります。
・ポリマーセメントモルタルの充填
・軽量骨材使用エポキシ樹脂モルタルの充填
そして、断面修復にはポリマーセメントモルタルと樹脂モルタルの2系統の材料が使用されているのが現状です。
断面修復材として特に重要な性能は、その断面修復厚によって若干異なりますが、一般につぎのような特性を持っています。
①躯体コンクリートと同等もしくはそれ以上の、弾性係数や熱膨張係数を有する
②寸法安定性がよく(乾燥収縮、硬化収縮等による長さ変化が小さい)、長期接着性に優れることなどが挙げられる
断面修復材の熱膨張係数が接着曲げ強度に及ぼす影響を温冷乾湿繰り返し試験によって比較した結果があります。これをみると、30サイクルの温冷乾湿繰り返し後にコンクリートの下地と接着が良好であった材料は、モルタルの熱膨張係数がコンクリートと同等、もしくは接着性が著しく高いものでした。しかし現状では、断面修復材の品質基準や適用に当たってのマニュアル(損傷程度と材料選択との関係)がなく、工期や経済性が優先し、施工性、硬化速度、価格に左右された材料、工法の選定が多く、今後これらの整備が期待されています。
断面修復に用いられるポリマーセメントモルタルは、一般にセメント:砂が1:2~3程度であり、ポリマーセメント比が10~20%のモルタルです。使用されているポリマーの種類はSBR系とPEA系が大半を占めています。1回の塗布厚は一般的に7mm前後以下とし、厚い場合は数回に分けて施工します。ただし、欠損面積が小さく奥が深い場合で、試験施工等により問題を生じないことが確認された場合には、1回の塗布厚を10mm程度としてもよいとされていますが、規定というものはないようです。
補修工事の場合には新設の場合のように十分な塗布(充填)間隔を取れないことが多いため、乾燥収縮の小さい材料を使用することが前提になります。なお、一般にだれや作業性及び剥落防止の観点から軽量ポリマーセメントモルタルを使用することがありますが、躯体の耐久性上問題となることもあるので、補修する構造物の劣化程度や部位、重要性等を考慮して使用するとともに、その性能を事前に調査する必要性があります。また、普通セメントモルタルの場合と異なり、塗布表面が乾燥によりスキニング(表面にポリマーの薄皮ができること)しやすいので、コテ押さえは塗布と同時に行う必要があります。放置してから金ゴテ仕上げを行うと、スキニング層が切れてひび割れ状になることがあります。また、急速な乾燥を避けるために初期養生に注意する必要があります。
断面修復に用いるエポキシ樹脂モルタルは一般に軽量骨材を使用しており、エポキシ樹脂の主剤と硬化剤の2剤を、それぞれにケイ砂等の充填材とシラスバルーン等の無機質微小中空体を配合しているのが一般的です。またエポキシ樹脂は雰囲気温度の硬化時間に及ぼす影響が大きいため、一部を除いては夏用と冬用との2種類があります。軽量骨材使用エポキシ樹脂モルタルは軽くてダレにくく一度に厚塗りができることから、安易に欠損の大きいところに通用される場合が多いようですが、コンクリートの弾性係数や熱膨張係数の違いから厚塗りの用途には不適と指摘している文献も数多くあります。むしろ、硬化も早く、取扱いも簡便なことから軽微な断面修復に向いていると思われます。施工はコテ、ヘラ等を用いて行うのが一般的です。 この際、主剤と硬化剤を多量に練り混ぜると発熱して極端に硬化が早くなるので、少量ずつ行うといいでしょう。
適用上の注意点
①材料選択における注意点として、施工後の温度変化(特に温度が低下する場合)によって収縮する際にコンクリートの引張破壊を生じる可能性があるため、そのようなことのない材料であることを確認しておく必要がある
②施工方法は使用材料の種類によって異なるので、その材料に適した方法や条件で施工しなければならない
③天井面の修復では自重や振動の影響による硬化前の材料の剥離に注意する必要があり、その影響が大きい場合には軽量ポリマーセメントモルタルなどの材料の使用も考慮する。また剥落の危険性のある箇所で断面修復の厚さが25mmを超えるような場合には、安全性を確保するために、溶接金網、アンカーピン、ネットなどを取付けたうえで補修する
④はつり深さが大きく、20mm程度以上の厚塗りが必要となる場合には、次のような事項も考慮する
・一層塗りを避けて多層塗りとする
・ビニロンメッシュなどの補強材を入れる
・材料中にファイバーを混入する等の厚塗り施工を行う上での工夫が必要である
①プライマーを刷毛等で塗布する。
②プライマーの指触乾燥以内にコテ、ヘラ等でモルタル状の材料をはつり面にすりつけながら充填する。
③左官コテで表面を平滑に仕上げて形状を修復する。
使用材料
修復材料はその用途および目的に適合する品質のものの中から選定する必要があります。一般に材料に対しては、次のような特性が要求されます。
①コンクリートとの一体性がよく、コンクリートと同等の強度、熱膨張係数を有する
②コンクリート及びその上に施工される被覆材との付着性に、優れた材料でなければならない
③硬化時に著しい収縮を生じないこと、施工後に自重や振動の影響で剥落しないこと
等の性能が要求されるのが一般的です。
左官仕上げによるコンクリートの断面修復には、次のような種類があります。
・ポリマーセメントモルタルの充填
・軽量骨材使用エポキシ樹脂モルタルの充填
そして、断面修復にはポリマーセメントモルタルと樹脂モルタルの2系統の材料が使用されているのが現状です。
断面修復材として特に重要な性能は、その断面修復厚によって若干異なりますが、一般につぎのような特性を持っています。
①躯体コンクリートと同等もしくはそれ以上の、弾性係数や熱膨張係数を有する
②寸法安定性がよく(乾燥収縮、硬化収縮等による長さ変化が小さい)、長期接着性に優れることなどが挙げられる
断面修復材の熱膨張係数が接着曲げ強度に及ぼす影響を温冷乾湿繰り返し試験によって比較した結果があります。これをみると、30サイクルの温冷乾湿繰り返し後にコンクリートの下地と接着が良好であった材料は、モルタルの熱膨張係数がコンクリートと同等、もしくは接着性が著しく高いものでした。しかし現状では、断面修復材の品質基準や適用に当たってのマニュアル(損傷程度と材料選択との関係)がなく、工期や経済性が優先し、施工性、硬化速度、価格に左右された材料、工法の選定が多く、今後これらの整備が期待されています。
断面修復に用いられるポリマーセメントモルタルは、一般にセメント:砂が1:2~3程度であり、ポリマーセメント比が10~20%のモルタルです。使用されているポリマーの種類はSBR系とPEA系が大半を占めています。1回の塗布厚は一般的に7mm前後以下とし、厚い場合は数回に分けて施工します。ただし、欠損面積が小さく奥が深い場合で、試験施工等により問題を生じないことが確認された場合には、1回の塗布厚を10mm程度としてもよいとされていますが、規定というものはないようです。
補修工事の場合には新設の場合のように十分な塗布(充填)間隔を取れないことが多いため、乾燥収縮の小さい材料を使用することが前提になります。なお、一般にだれや作業性及び剥落防止の観点から軽量ポリマーセメントモルタルを使用することがありますが、躯体の耐久性上問題となることもあるので、補修する構造物の劣化程度や部位、重要性等を考慮して使用するとともに、その性能を事前に調査する必要性があります。また、普通セメントモルタルの場合と異なり、塗布表面が乾燥によりスキニング(表面にポリマーの薄皮ができること)しやすいので、コテ押さえは塗布と同時に行う必要があります。放置してから金ゴテ仕上げを行うと、スキニング層が切れてひび割れ状になることがあります。また、急速な乾燥を避けるために初期養生に注意する必要があります。
断面修復に用いるエポキシ樹脂モルタルは一般に軽量骨材を使用しており、エポキシ樹脂の主剤と硬化剤の2剤を、それぞれにケイ砂等の充填材とシラスバルーン等の無機質微小中空体を配合しているのが一般的です。またエポキシ樹脂は雰囲気温度の硬化時間に及ぼす影響が大きいため、一部を除いては夏用と冬用との2種類があります。軽量骨材使用エポキシ樹脂モルタルは軽くてダレにくく一度に厚塗りができることから、安易に欠損の大きいところに通用される場合が多いようですが、コンクリートの弾性係数や熱膨張係数の違いから厚塗りの用途には不適と指摘している文献も数多くあります。むしろ、硬化も早く、取扱いも簡便なことから軽微な断面修復に向いていると思われます。施工はコテ、ヘラ等を用いて行うのが一般的です。 この際、主剤と硬化剤を多量に練り混ぜると発熱して極端に硬化が早くなるので、少量ずつ行うといいでしょう。
適用上の注意点
①材料選択における注意点として、施工後の温度変化(特に温度が低下する場合)によって収縮する際にコンクリートの引張破壊を生じる可能性があるため、そのようなことのない材料であることを確認しておく必要がある
②施工方法は使用材料の種類によって異なるので、その材料に適した方法や条件で施工しなければならない
③天井面の修復では自重や振動の影響による硬化前の材料の剥離に注意する必要があり、その影響が大きい場合には軽量ポリマーセメントモルタルなどの材料の使用も考慮する。また剥落の危険性のある箇所で断面修復の厚さが25mmを超えるような場合には、安全性を確保するために、溶接金網、アンカーピン、ネットなどを取付けたうえで補修する
④はつり深さが大きく、20mm程度以上の厚塗りが必要となる場合には、次のような事項も考慮する
・一層塗りを避けて多層塗りとする
・ビニロンメッシュなどの補強材を入れる
・材料中にファイバーを混入する等の厚塗り施工を行う上での工夫が必要である
なお、最近では厚塗り仕様の特殊なポリマーセメントモルタルも開発されているので、使用部位等考慮の上検討するのも重要なことかもしれません。
また施工時に注意しなければならないのは天候、温度、湿度、接着面の状態、塗り間隔等であり、使用材料に適した条件での施工が確保されなければなりません。
工具等の使用に関する注意点
①意外に知られていませんが、コテは左官技術に関連する最も重要な工具です。したがって、コテの良否を選別、判定することは左官技術の上達に大切な要素であることになります。コテの材質には、鉄製、鋼鉄製、ステンレス製、木製、ゴム製、プラスチック製などがあり、左官工事の作業内容、施工部位などに応じて使用されるよう多種多様に製作されており、作業の内容や用途に適したものを使用することが大事です
②コテは、塗り付ける材料および塗り層の種類、塗り厚、仕上げの種類ならびに程度、また、施工部位などを考慮し、整備されたものを選んで使用します
③練り混ぜ用具およびコテ板、定木類ならびに刷毛類などの付属工具類は、よく整備されたものをそれぞれの用途により使い分けることが大事です
また施工時に注意しなければならないのは天候、温度、湿度、接着面の状態、塗り間隔等であり、使用材料に適した条件での施工が確保されなければなりません。
工具等の使用に関する注意点
①意外に知られていませんが、コテは左官技術に関連する最も重要な工具です。したがって、コテの良否を選別、判定することは左官技術の上達に大切な要素であることになります。コテの材質には、鉄製、鋼鉄製、ステンレス製、木製、ゴム製、プラスチック製などがあり、左官工事の作業内容、施工部位などに応じて使用されるよう多種多様に製作されており、作業の内容や用途に適したものを使用することが大事です
②コテは、塗り付ける材料および塗り層の種類、塗り厚、仕上げの種類ならびに程度、また、施工部位などを考慮し、整備されたものを選んで使用します
③練り混ぜ用具およびコテ板、定木類ならびに刷毛類などの付属工具類は、よく整備されたものをそれぞれの用途により使い分けることが大事です